自律神経とヨガ、サウナのつながり【ととのえ学】

最初に

記事を読んで頂きありがとうございます。
今回の記事は、自律神経の重要性とヨガとサウナとの繋がりについてです。
記事に入る前に、最初に私たちsoluteの事をご紹介させていただきます。
soluteは、東洋哲学やサイエンスに基づく、ウェルネスな生活を送るためのソリューションを提供する事を目指して活動を開始しました。こちらのサイトでは、ウェルネス、ヘルスに関する情報や、リアルでのイベント情報を発信していく予定ですので、今後とも是非よろしくお願いします。

自律神経とは

皆さんは自律神経という言葉をご存知でしょうか。なんとなく聞いたことはあるけど、具体的に何なのかは良くわからないという方もいるかと思います。
それもそのはずで、研究は進みつつありますが、まだ医学的に解明されていないことも多い分野なのです。今回は自律神経研究の第一人者である小林弘幸先生の著書や厚生労働省のサイトも引用しながら自律神経について紹介したいと思います。
まず、厚生労働省の健康サイトe-ヘルスネットでは、自律神経は、『交感神経と副交感神経という逆の働きをする2つに分かれており、交感神経は身体を活発に動かすときに働き、副交感神経は身体を休めるときに働きます。これらが互いにバランスを取りながら身体の状態を調節しています。』と紹介されており、自律神経の働きが、自律神経失調症、更年期障害、過敏性腸症候群、睡眠障害とも関連するとも紹介されています。
小林弘幸先生の著書では、自律神経の働きの低下は、血管の老化、免疫力の低下に繋がり、体が病気になりやすい状態になってしまい、具体的には、自律神経の力は、10年でおよそ15%ずつ低下し、これは、人生の質が10年でおよそ15%ずつ低下する事を意味していると述べられています。
自律神経は、「自律」という文字があらわす通り、意識とは無関係に自律的に働く神経であり、私たちが眠ってくれている間も含め、私たちの生命活動を24時間365日休むことなく支えてくれています。
また、自律神経は単独の器官、臓器に影響を及ぼしている訳では無く、心臓、気管支、胃腸、筋肉、血圧、発汗など体の有りとあらゆるところに影響を及ぼす重要な神経です。一方で、意識とは無関係に働く神経のため、重要な神経なのですが、手や足を動かすための運動神経と異なり、直接コントロールすることは難しいです。
では、全くコントロール出来ないのかというと、そうではなく、呼吸などを使って間接的に自律神経にアクセスし、整えたり、部分的にコントロールすることは可能なのです。
次の章にて、自律神経のコントロールとヨガ、サウナとの繋がりをご説明します。

呼吸と熱による自律神経のコントロール

前の章でも述べた通り、自律神経は、心臓、気管支、胃腸、筋肉、血圧、発汗など体の有りとあらゆるところと関連しています。しかしながら、例えば心臓を早く動かそう、胃腸の動きをゆっくりにしようという事を意識的に行う事は困難です。一方で、深呼吸をする事により心臓がドキドキするのを落ち着かせたり、熱い室内にいることにより発汗したりと、間接的に心臓の動きや発汗の多少にアプローチする事を可能であり、その事を活用すると自律神経を部分的にコントロールする事が可能になります。
特に呼吸は、小林弘幸先生の著書でも、『現段階で自律神経を確実にコントロールできるのは呼吸』とも紹介されており、自律神経コントロールに関してのキーポイントとなります。
私たちも深呼吸をすると心が落ち着くという事は経験していると思いますが、なぜ深呼吸をすると心が落ち着くのかという事は良くわかっていませんでした。
近年、体の状態を測るデバイスも発展してきており、その一つとして、末梢血管の血流量を測定する機械が発明されました。そのことにより、医学的に呼吸が体にどのような影響を及ぼすか証明されました。
この装置により、呼吸を止めた瞬間に末梢血管の血流量が落ちることが分かり、呼吸には瞬間的に体の状態を変える力があり、また、深呼吸をすると心が落ち着くのは、深呼吸により末梢の血流量が増加するからという事も分かりました。
実際に、トップアスリートや一流の外科医も呼吸を止めずに、呼吸のリズムに合わせて動いたりしています。
このように呼吸は自律神経のコントロールに繋がる重要な要因です。
呼吸については、腹式呼吸、胸式呼吸、方鼻呼吸など色々な呼吸法があり、体の内部からの自律神経系にアプローチする方法となります。
『呼吸法』と名前が付いている通り、トレーニングによって習得が可能なスキルですが、継続した練習が必要であり、すぐに呼吸を使って自律神経をコントロールすることは困難です。
一方で、自律神経をコントロールする別のアプローチとして、『熱』を利用する方法があります。これは、温熱刺激を皮膚を通して与え、体の外部から物理的な刺激を与えて自律神経系にアプローチする方法になります。
『呼吸法』が体の内部からのアプローチであるのに対して、『熱』は体の外部からのアプローチとなる為、呼吸法は継続した練習が必要であるのに対して、熱はある程度の慣れは必要ですが、継続した練習が無くても自律神経系へのアプローチが可能です。
次の章にて、具体的な呼吸へのアプローチ方法としてヨガ、熱へのアプローチ方法としてサウナを紹介したいと思います。

呼吸へのアプローチとしてのヨガ、熱へのアプローチとしてのサウナ

本章では、まず初めに呼吸へのアプローチとしてのヨガについて説明していきたいと思います。
ヨガは、現在はアーサナという動きを取るものが一般的ですが、もともとは古代インドで生まれた修行法です。古代ヨガでは、修行のためのステップを示した八支則というものがあり、このなかで、8つのステップが示されており、アーサナはその中の一つとなります。そして、8つの中に、呼吸と体・心を繋げることに意識を向けることを意味する、『プラーナヤーマ』というステップが含まれています。
このように、呼吸とヨガは、その成り立ちから関係性があり、古代の人は、経験を通して、呼吸により自身の潜在能力を引き出せるという事を理解しており、修行法としてのヨガの1ステップに、呼吸に関連するプラーナヤーマを取り入れたのだと思います。
では、次に呼吸へのアプローチとして、ヨガのどのような所良いのかご紹介したいと思います。
ヨガの利点として、小林弘幸先生の著書に、「『深い呼吸』を通じて、自律神経のバランスを整える。」と紹介されています。
これはどういうことかというと、私たちの体は、速く動かせば動かすほど呼吸が荒くなるようになっています。この時に、呼吸が荒くなり呼吸の回数も増えるので、より多くの酸素を体内に取り込めているような気がしますが、実際には体の中に取り込まれる酸素量は低下します。なぜならば、回数が増えても一回一回の呼吸が『浅い呼吸』になってしまっているからです。
前の章でも述べた通り、自律神経、呼吸、血流は関連しています。基本的に、交感神経が優位になると血管は収縮し、副交感神経が優位になると血管は拡張します。
そのため、体が酸素不足を感じると、血管を収縮させるため、交感神経優位の状態になり、酸素の量が増えると、反対に副交感神経優位の状態にして、血管を拡張させます。
ただし、この時自律神経は、交感神経が上下するのではなく、副交感神経が上下する事によりバランスを調整します。
すなわち、『浅い呼吸』による状態は、副交感神経が低下している状態になっているのです。あせるとミスが増えるのは、この『浅い呼吸』、「せかせかした動き」が副交感神経を低下させ、自律神経のバランスを崩してしまっているからなのです。
プロゴルファーのタイガーウッズは、ヨガをトレーニングに取り入れています。タイガーウッズは、スコアが良くても悪くても、いいショットを打ったあともミスショットのあとも、どんなときも、ゆっくりと胸を張って歩いています。この歩き方が『深い呼吸』につながり、副交感神経が高いレベルで維持され、自律神経の安定した状態につながり、結果として、実力の発揮につながっていると思われます。

それでは、次に、熱へのアプローチとしてのサウナについて説明していきます。
神経の中でも、特に自律神経系は温熱刺激に敏感に反応する事が知られています。一般的に、高温、寒冷いずれの刺激も交感神経を緊張させて、交感神経優位になる事が知られています。
そうすると、サウナは高温なので、交感神経だけを刺激して緊張した状態になってしまうのではないかと思われるかもしれませんが、その通りで、サウナ浴だけでは、交感神経優位の状態になってしまいます。
ここで、サウナによる熱へのアプローチでの自律神経系へのコントロールについての、コツと慣れが必要となってきます。
サウナは、サウナ浴だけでなく、冷水浴、外気浴とを3つセットで行う事により、自律神経系へのコントロールに絶大な威力を発揮します。
サウナ浴では高温刺激による交感神経優位へ、冷水浴では寒冷刺激による交感神経優位へ、そして、外気浴では副交感神経優位へ変化します。
このことにより、2021年の新語・流行語大賞にもノミネートされた、『ととのう』という状態になり、瞑想に近い深いリラックス感を感じることが出来ます。

最後に

自律神経系を日常生活やヨガ、サウナなどを活用してケアやコントロールして、皆さんのウェルネスライフにつなげて頂ければと思います。
次回は、デジタルデバイスの健康への影響とデジタルデトックスについての記事を予定しています。
また、私事ですが、サウナスパプロフェッショナルという資格を保有しており、かなりのサウナフリークです。サウナの入り方やテクニックについてはまた別の記事でもご紹介したいと思います。
引き続きよろしくお願いします。

参考文献、参考サイト

・小林弘幸 「なぜ、「これ」は健康にいいのか?」, サンマーク出版 , 2016年1月
・厚生労働省 e-ヘルスネット https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/heart/yk-082.html

文 / Tommy H